丸森町の「ミツロウラップ」で、楽しく環境負荷を減らす | マメムギモリノナカ 山下さん インタビュー
こんにちは! KURASHITOのTomoeです。
最近よく見かける「サスティナブル」という言葉。「持続可能な」「維持できる」という意味を持ち、環境に負担をかけない形で、自然と一緒に生きていく社会を目指すための取り組みが広がっています。
レジ袋の有料化、プラスチックストローの廃止など、暮らしの中でプラスチックを減らしていく取り組みが広がる中、宮城県丸森町でミツロウラップを制作しているユニット「マメムギモリノナカ」の山下さんにお話を伺いました。
ミツロウラップに興味はあるけれど、どうやって使うかわからないという方も必見です!
Profile
マメムギモリノナカ
代表 山下 久美さん仙台市内でセラピストとして働いたのち、独立する際に丸森町へ移住。
2019年10月に「宮城県丸森町地域おこし協力隊」の活動を通して「マメムギモリノナカ」を設立。
自然豊かな丸森町、環境に優しいミツロウラップの魅力を発信している。
ミツロウラップとは?
ミツロウラップとは、綿100%の布にミツロウと天然樹脂、植物油を染み込ませた食品ラップです。環境問題への関心が高く、エコ先進国であるオーストラリアが発祥だといいます。洗って繰り返し使えるのが大きな特徴です。
今や深刻になっているゴミ問題。世界的に見ても日本のゴミ廃棄量は多く、廃棄物の処理・処分場が不足しています。
ミツロウラップを使うと、使い捨てのプラスチックラップを使用した時に比べて日常のゴミを減らすことができます。家庭でも簡単に、環境負荷を低減ことができるんですね。
……と、そこまではなんとなく理解できましたが、ゴミを減らす以外にミツロウラップにはどんなメリットはあるんでしょうか?
そもそも、一体どうやって使えばいいのでしょう……?
という訳で、実際にミツロウラップ「tsu tsu mi」を使って、山下さんに使い方をレクチャーしてもらいました!
ミツロウラップの使い方
「tsu tsu mi」のサイズはS(18cm)・M(27cm)・L(36cm)の3種類。
- Sサイズ 18cm|小鉢やお茶碗に封をしたり、半分に切ったリンゴのなどの保存に。
- Mサイズ 27cm|おにぎり・サンドイッチの持ち歩きや、野菜の保存に便利な基本のサイズ。
- Lサイズ 36cm|白菜や大根など、大物の野菜に。工夫次第で器を作ることも。
見た目は可愛らしい普通の布といった感じです。触ってみるとパリっとしていて、ミツロウのおかげでちょっとだけべたつきますが、私は思ったよりも気にならなかったですよ。
食品を包む
Mサイズのミツロウラップでパプリカを包んでもらいます。
くしゅくしゅと包むと、ラップ同士がぴたっと密着します。形状記憶がすごい!
山下さん:手の温度でミツロウが溶けてくっつく仕組みになっているんです。中の食べ物に合わせてフィットしてくれるので、いろんな食材を包むことができますよ。
Tomoe:なるほど、熱でくっつくんですね。
山下さん:パプリカはMサイズを使いましたが、切りかけの野菜やピーマンやしょうが、にんにくなどの小さい野菜はSサイズがちょうどいいと思います。
にんじんにもしっかりフィット。どんな野菜でも上手に包めそうです。
にんじんと言えば、マメムギモリノナカさんの公式Instagramで気になる投稿があったことを思い出しました。
Tomoe:そういえば、にんじんの一部を包んだInstagramを拝見して驚きました! なぜあんな変化があったんでしょうか?
山下さん:私たちも驚きました(笑)ミツロウには天然の抗菌性と保湿性があって、包んだものの鮮度を保ってくれるんです。冷蔵庫にいれると黒ずんだりして傷んでしまいがちなにんじんですが、改めてミツロウラップのすごさを実感しましたね。
Tomoe:包まないほうがいい食品はありますか?
山下さん:熱湯消毒ができないため、衛生面から生肉と生魚は向かないです。あと、ミツロウはオイル分なので、油の多いものだと油同士で溶けてしまうのでNGですね。
Tomoe:ちなみに、たまねぎなどを包むとき、ラップに匂いが移っちゃったりしますか……?
山下さん:そうですね、香りが強いものは多少は移ってしまうかもしれませんが……使用する上で問題はないので、私は気にせず使っちゃいますね。
器にフタをする
陶器の器にSサイズのミツロウラップでフタをしてみます。
パプリカやにんじんを包んだ時のように、器の形に合わせてギュッと押し付けるとしっかり密着。
器というよりはミツロウラップ自体がくっつくイメージなので、プラスチックのようにつるつるした素材でも使うことができそうです。
電子レンジの使用と冷凍はできないものの、冷蔵程度なら問題ないとのこと。
もし器にべたつきが残った場合も、お湯で流せば綺麗に落ちます。
他にも使い方がたくさん!
もともと、登山やキャンプなどアウトドアが大好きだという山下さん。ミツロウラップは野外でも大活躍!
山下さん:もちろんサンドイッチやおにぎりを包んでもいいですし、お皿としても使えるので、荷物を減らすことができるんです! アウトドアシーンではできるだけ荷物を軽量化したいので、タッパーやお皿に代わりに使うととっても便利ですよ~!
Tomoe:ラップがお皿に……!? どういうことですか?
実際にMサイズのミツロウラップを使ってお皿を作ってもらいました。
4つ折りにして一度開き、線に沿って折りたたみます。
それをまた裏返して、角を合わせて折っていきます。まるで折り紙のよう。
4つの角を外側に開いて完成! 意外と底が深いので、ちょっとした取り皿として使ったりサラダを乗せたりと用途が広そうです。
形状記憶できて、防水効果のあるミツロウラップの成せる技ですね!
Tomoe:あっ、こっちはもしや……。
山下さん:そう、パックンチョです(笑)4つのくぼみにそれぞれおかずやおつまみを入れて、小鉢みたいに使えます。
Tomoe:へ~かわいい! 発想次第でユニークに使えますね。
山下さん:青葉区にあるフレンチレストラン「Oupe(オープ)」や、仙台国際ホテルのレストランで実際に器としてミツロウラップを使ってくださったんですが、やっぱりプロの料理人の方の発想は感動しましたね。こんな風に使えるんだ、と……!
お手入れ方法、交換のタイミング
使い捨てせず、繰り返し使えることが最大の特徴であるミツロウラップ。日常的なお手入れはどのようにすればいいのでしょうか?
山下さん:基本的には水洗いだけで大丈夫です。ふきんなどで軽く水気をふき取り、自然乾燥します。
Tomoe:なるほど。もし汚れてしまった場合はどうすればいいでしょうか。
山下さん:コーティングされているので汚れを弾く性質がありますが、もし気になった場合は少量の洗剤をつけて、スポンジなどで洗ってください。あまり強くこするとミツロウが剥がれてしまうので、優しく洗ってくださいね。
Tomoe:わかりました! ちなみに、交換のタイミングはいつ頃ですか?
山下さん:ミツロウのコーティングがなくなって布っぽい手触りになったら交換のサインです。使用できる目安は半年間ですが、強くこすって洗ったりしなければもっと長持ちしますよ。
Tomoe:使い終わった後は普通に捨てていいんでしょうか?
山下さん:はい、普通に捨ててもらって大丈夫です。ラップとして使い終わったらそのまま雑巾にしてもいいですし、コットン100%なので埋めれば土に還ります。
Tomoe:とことんゴミの出ない設計なんですね……!
色や絵柄も可愛らしく、自宅で楽しみながら環境負荷を減らせるミツロウラップ。使い方や手入れも簡単。ひとつの選択肢として取り入れてみませんか?
販売店舗は公式ネットショップの他、以下店舗で購入可能です。(2020年12月現在)
・あがらいん伊達屋(丸森町)
・秋保ビレッジ アグリエの森(仙台市)
・石塚養蜂園(丸森町)
・いなか道の駅やしまや(丸森町)
・おひさまや(仙台市)
・カネイリスタンダードストア(仙台市)
・齋理屋敷(丸森町)
・四季の宿 みちのく庵(白石市)
・茶屋勘右衛門(松島町)
・東北スタンダードマーケット(仙台市)
・八雄館(丸森町)
・藤崎(仙台市)
・ルメード・ドゥース(仙台市)
・レソンシエルジャポン(オンラインショップ)
マメムギモリノナカ 山下 久美さんにインタビュー
―ミツロウラップの工房を設立した経緯を教えてください。
もともと仙台でリラクゼーションのセラピストをしていました。独立を考えた時に、起業サポートの面がとても充実している丸森町でサロンを開こうと考えたんです。仙台で行っていたセラピーをそのまま丸森でやるだけでは面白くないので、地域と関わりを持ちながら活動していきたいと思いました。
その中で石塚養蜂園さんと出会い、ミツロウという素材が余っているとお話をいただきました。最初はセラピーで使うマッサージクリームを作ろうを思ったんですが、なかなか在庫の消費に繋がらなくて……。
他に何か商品化したいと考えていた時に、海外発祥のミツロウラップと出会ったんです。私のセラピーに「人と自然が共存して健康に暮らしていく」というコンセプトがあったので、それが環境に優しいミツロウラップとも合っているなと思いました。
ぜひこれを丸森で商品化したい! という想いから、マメムギモリノナカというユニットと工房を立ち上げました。
―ちなみに、「マメムギモリノナカ」というユニット名にはどんな由来があるんでしょうか?
もう一人の平井というメンバーがコーヒー好きで、私がビール好きだったので、マメとムギです(笑)もともと登山サークルで出会ったのと、2人とも自然が好きだったので「モリノナカ」を付けました。もともとはInstagramのアカウント名だったんですよ。
―なるほど、マメとムギ……おもしろいですね!(笑)ロゴマークもとても可愛らしいです。
これは今年「tsu tsu mi」のパッケージをリニューアルした際、東北スタンダードマーケットの岩井さんにデザインしていただきました。「丸森」のイメージが伝わりやすい樹の形をしていて、緑の丸の部分が森を、黄色い部分を蜂蜜がしたたる様子を表現しています。
―東北スタンダードマーケットといえば、東北の職人さんを応援するクラウドファンディング「#スタンドバイ東北」が2020年10月に立ち上がったばかりですね。
マメムギモリノナカさんも参加されていて、既に目標金額を達成されているとか。おめでとうございます!
ありがとうございます! 支援していただいた方からコメントもいただいて、メディアやイベントなどいろんなきっかけでtsu tsu miを知ってくれている方がいて嬉しかったです。
―クラウドファンディングに挑戦するにあたって用意された新作の絵柄も可愛らしいですね。山元町の特定非営利活動法人「ポラリス」所属の作家さんがアートワークを担当されたとか。
そうなんです。マメムギモリノナカのWebサイトに「アメがフリ」「キギがタチ」「モリとハチがアソブ」という3パターンのスライドを表示しているのですが、そちらのコンセプトをもとに絵柄を依頼させていただきました。
―クラウドファンディングの支援額を今後どのように活用される予定でしょうか?
マメムギモリノナカのオリジナルのテキスタイルを増やしていきたいと思っています。その際は東北のモチーフや、東北に由来のあるクリエイターを起用していきたいですね。
地域での雇用促進や設備投資も視野に入れています。
―最後に、マメムギモリノナカとしての今後の展望を教えてください。
ミツロウラップだけではなく、これからも自然由来のものを作っていきたいと思っています。丸森町はいろんな素材が豊富なので、それを生かした商品のラインナップを増やしていきたいですね!
―山下さん、貴重なお話ありがとうございました!