03 暮らし

くらしとおやつ 仙台、アーケードのおやつ

- 2020.10.30
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くらしとおやつ 仙台、アーケードのおやつ

おやつが好きだ。
どんなに疲れていても、少々嫌なことがあっても、
おやつがあれば、大抵のことをリセット出来てしまう。
そんなおやつについて、エピソードや私自身のこだわりを綴っていく。

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とある月曜日の午前10時。私は、アーケードのサンモール一番町入り口のマックにいた。
11時半から仙台駅前のTOHOシネマズで映画を観る予定なので、それまでの約1時間どこかで過ごそうと思ったところ、ふと、「朝マック」の文字が目に留まった。

そう頻度が高くはないが、たまに、マクドナルドのハンバーガーを食べたくなる時がある。
特に「朝マック」に関しては、意外とタイミングが合う時が少ない。
朝食もまだだったので、これはベストタイミングと思い、カウンターで「ベーコンエッグマックサンド」とハッシュドポテトのセットを注文した。

仙台青葉通り店は2019年7月からリニューアルしていて、その変わりように驚いた。
これまでのカラフルでポップな内装から、モノトーンで統一したスタイリッシュな店内に生まれ変わり、BGMにジャズが流れている。
平日の午前中ということもあり、店内の人はまばらで落ち着いて過ごすことが出来た。
窓側の席に座って温かいハンバーガーの紙包みを開きながら、ふと、学生の頃を思い出した。

小学校から高校までを青葉区の学校で過ごした私は、通学路は街中だったし、そんな街中での放課後の思い出がいくつもある。
中学時代は部活が忙しかったので、街で遊ぶ頻度は決して多くなかったが、たまの休みはディズニーストア前で友達と待ち合わせをし、プリクラ(今のような加工技術はないオーソドックスなもの)を撮ってマックに入り、プリクラをはさみで切り分けて分け合いっこして過ごした。
友達の間ではパステルピンクのストロベリーシェイクが人気だったが、私はホットアップルパイが好きだったし、今も好きなメニューだ。四角い箱から少しだけパイの先を出してかぶりつくと、思いの外熱いアップルソースで舌を火傷した。
もう記憶が定かではないけれど、青葉通り店でプリクラを分け合ったこともあっただろう。
かつてこの店内のどこかに座ってはしゃいでいた自分を思い、懐かしくなった。

仙台のアーケード界隈には、他にもいろいろな思い出がある。
待ち合わせスポットの定番といえば、広瀬通沿い、ディズニーストアの通りを挟んで向かいにあるファッションビル「フォーラス」だ。
3歳から仙台に住んでいる私は、「フォーラス」の店舗の移り変わりをおぼろげながら覚えている。
スターバックスもまだ入っていなかった何十年も前、「フォーラス」にはこども服のフロアがあった。こども服のブランド店がいくつも入っていて、絵本や可愛い雑貨を扱ったお店もあり、母との買い物で幼心に毎回気分が舞い上がっていたことを今でも覚えている。
私にとってのお目当ては、くまのクッキーだった。
腕を体の脇に揃えてぴしっと立っているくまをかたどっていて、バニラやココア、バナナ味などがあった。このクッキーはお菓子を量り売りしているお店のもので、店内のケースには様々なお菓子が山盛り入っていて、そこから選んでグラム単位で購入出来た。
こどもの手の平に収まる大きさ、噛むとぽりんと崩れる優しい風味のクッキーが美味しかったし、何より、好きな味をちょっとずつ袋に詰めてもらうという行為がたまらなく嬉しかった。

大学時代、サークル仲間は、活動が終わると皆揃って「フォーラス」の並びのサーティーワンでアイスを食べていた。
でも、私にとってのアイスはハーゲンダッツである。
リッチだねぇ、という声が飛んできそうだが、ハーゲンダッツ派ということではなく、アーケードでのハーゲンダッツの思い出があるということである。
これも今から20年以上も前だが、三越の並びにハーゲンダッツの路面店があった。
1階のショーケースにはカラフルなアイスクリームが並んでいて、好きなフレーバーと、カップかワッフルコーンかを選ぶことが出来た。2階はイートインスペースになっていた。
好きだったのは、クッキーアンドクリームとストロベリー。さくさくかりかりのクッキー生地のワッフルコーンに、こんもり盛られたアイスの美味しいこと。
コンビニのカップにぎゅっと詰められた固めのアイスを溶かしながら食べるものいいが、とにかくふんわりとろり、滑らかだった。コーンに巻かれた紙にはハーゲンダッツのロゴがプリントされていて、それを少しずつ破いてむきながら食べ進めるのも楽しい。
冬場に暖房が効き過ぎたデパートでの買い物に疲れて、家族で立ち寄った思い出の詰まったお店だった。

仙台はおろか、ハーゲンダッツの路面店自体数年前に日本から撤退しているし、「フォーラス」の量り売りのお菓子屋さんもなくなって久しいけれど、いつかまた、あのくまのクッキーや、コーンで食べるアイスと再会する時があるのだろうか。
もし再会する時があっても、きっとそれは当時のそれとは違う。シチュエーションも、味の感じ方も変わってしまっている。
おやつというものは、本当に記憶と共にあるものだということを痛感する。

今年の大変な状況下、仙台もだいぶ畳んでしまったお店がある一方で、逞しくも新しいお店がたくさんオープンしているのは喜ばしい。スマホを片手に、新しいカフェでおしゃれなスイーツを楽しむ可愛い10代の子達を見かけると、十数年後、この時間を振り返って懐かしむ日があるのだろうか、とふと思う。
チェーン店でも、個人のお店でも、そこで過ごした時間は一様に思い出に残る。お店が変わるも変わらないも、街はそうやって人の記憶と共に作られていくものなのだ。

時計を見ると、午前11時を過ぎたところだ。窓の外ではちょうど信号が青に変わり、マスクをした人々が一斉に青葉通りを横断し出した。

そろそろ駅前に向かう時間だ。コロナ禍になってはじめて映画館に足を運ぶ。
ちなみに小学生の頃、現在のパルコ2内の方ではなく、現在の仙台東宝ビルが建っている場所にあった映画館「仙台東宝2」で、父と『101匹わんちゃん』を観た。
初めての映画館、そこで食べたであろうポップコーン…… 秋だからだろうか、どうも物想いにふけってしまう。

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