大町「SALUMERIA Come Sta(サルメリアコメスタ)」千葉元気さん
美しい盛り付け、顔がほころぶ味、粋な接客。また食べたい料理、また来たいと思うお店には必ず理由がある。
仙台の食のプロたちの美味しいストーリー、今回は、大町の「SALUMERIA Come Sta(サルメリアコメスタ)」店主の千葉元気(もとき)さんを訪ねた。
※「SALUMERIA Come Sta」は、2022年1月に実店舗を閉店しました。取材は2021年7月のものです。今後はイベント出店などで展開予定とのこと、記事ではSALUMERIA Come Staのルーツや想いをお楽しみください。
青葉区大町。西公園通から一本細い道に入ったところにある、緑のひさしに赤れんがの外観が目印の「SALUMERIA Come Sta」は、生ハムとサラミの専門店。
店名にもなっているSalumeria(サルメリア)は、イタリア語で食肉加工品を扱う専門店のこと。テイクアウトできる生ハムやサラミは店内でもいただくことができ、それに合わせた料理も楽しむことができる。
まずは、店主の千葉元気さんに、生ハムとサラミについて伺った。
味の違いを楽しむ 生ハム・サラミ
- いただいた7種類の生ハムとサラミの盛り合わせは、どれも微妙な風味の違いがあり、とても楽しく食べ比べることができました。
今日盛りつけたのは、上から順に時計回りで、北イタリア・モントルシ社の生ハムで、豚の肩肉を使った「コッパ・ノストラーナ」、フェリーノ地方で作られた「フェリーノサラミ」、トリュフが入った「トリュフサラミ」、豚の尻部を使ったサラミ「ストロルギーノ・ディ・クラテッロ」、イタリアの代表的なサラミ「ミラノサラミ」、豚のもも肉を使ったサンダニエレ産の生ハム(16ヶ月熟成)、そして、日本人で唯一パルマハム職人としてイタリア本国に認められている多田昌豊さんが作った生ハム「ペルシュウ」(24ヶ月熟成)です。
- 一言に生ハム・サラミと言っても、肩肉やもも肉など様々な部位を使って作られているんですね。お尻のお肉を使っているという「ストロルギーノ・ディ・クラテッロ」は、噛めば噛むほど旨味が出てくるジューシーなサラミでした。トリュフサラミも香りが良いですね。
特に生ハムは、これまで食べたことのあるものと食感も旨味も全く違っていてカルチャーショックと言って良い程で、お肉のコクや鼻に抜ける繊細な香りが感じられました。
食べ比べてみると違いがわかって面白いですよね。特に、多田さんが作った「ペルシュウ」は、イタリアのパルマで作られているパルマハムよりも約1.2%塩分濃度を下げて作っているので、他の生ハムよりも甘みが感じられると思います。
ー 生ハムは塩気が強いイメージがありましたが、こちらでいただいたものは全体的に優しい風味ですね。
実は、同じ種類の生ハムでも、塩気が強いものもあればマイルドなものもあります。一本ごとに脂の入りや水分量が違い、職人が経験によって手作業で塩を振っているからです。
通常うちで出している生ハムは、一本一本生ハムの状態に合わせて切っていますが、大体1枚8g以下で切っていることが多いです。いつもより厚めに切ったものも用意したので食べてみてください。
ー いただきます……。あ、これが食べ慣れている生ハムの食感に近いです。やはり、厚めは塩味が舌に残る感じがあります。それに比べて「SALUMERIA Come Sta」の通常の厚さに切ったものは薄くて軽く、口の中でふわっと溶けていく感じ。塩味より脂の甘みが残りますね。
生ハム・サラミができるまで
ー 生ハムの基本的な作り方を教えてください。
まず、世界三大ハムといわれているのが、イタリアのパルマハム、中国の金華ハム、スペインのハモンセラーノです。
スペインのハモンセラーノの作り方は、まず、豚の脚の皮の一部だけを残してそぎ落とし、大量の岩塩で塩漬けにします。その後、水に漬けて塩抜きをした後、乾燥熟成します。
岩塩には、硝酸塩や亜硝酸塩といった発色剤や保存料となる成分が含まれているので、ハモンセラームは長期保存に向いた生ハムです。
一方、イタリアのパルマハムには海塩が使われています。この海塩の塩分だけで約2年の長期熟成に耐えられる唯一の生ハムで、うちではこのパルマハムを主に扱っています。
作り方は、熟練の職人が成形した肉に、必要最低限の海塩を2回に分けて振ります。肉の重さによって寝かせる期間を調整し、60~90日間冷蔵熟成します。
冷蔵熟成が終わる頃には、肉の表面に厚さ1㎝程の酵母ができます。この酵母と余分な塩をぬるま湯で洗い流し、乾燥室に数日間吊るします。自然の風を取り入れて、温度と湿度を調整できる部屋に移して乾燥熟成をさせます。
日本の食肉加工のルールの中で、生肉にお湯をかけるというのはあってはいけないこと。そんなことをしたら本来は菌が繁殖して傷んでしまうので、日本では絶対にタブーなんです。
ただ、パルマハムに関してはこの製法で二千年近く作って食べられているので、歴史が安全性を保証しているんですね。
最後は肉の皮がない部分に、ラード、米粉、少量の塩と胡椒を混ぜたものを塗り、乾燥具合を調整をしながら熟成させます。この最終熟成期間に肉のたんぱく質が分解されて、パルマハムの風味、香り、味が生まれます。
ー 一つの生ハムが出来上がるまでに、これだけの時間と手間が掛けられているのですね。サラミはどのように作るのですか?
サラミは、ソーセージのような作り方です。腸詰して乾燥させ、熟成。生ハムは塊肉に塩をして熟成させますが、サラミはひき肉にハーブやトリュフを混ぜて味に個性を出しています。
骨つきの生ハムを買う理由
ー 今日は、生ハムをスライスするまでを見せていただけるそうですね。
はい。これからお見せするのは、生ハムの骨を抜いてスライサーで切れるような状態にする作業です。
ー マグロの解体ショーのような迫力ですね(笑)。
イタリア人のYouTuberの友人がいるんですが、まさにそんな感じで撮らせてくれって言われたことがあります(笑)。
一般的に皆さんがご覧になっている生ハムは、プレッサート(イタリア語で圧縮するの意味)した後のもの。骨を抜いて機械で圧縮された状態です。僕は、生ハムの骨を取る作業を自分でやっていますが、この作業をしているお店は、うちを入れて日本で数店舗あるかないかだと思います。イタリアでも一般的なサルメリアは、骨を抜いて処理された状態で仕入れているところが多いですね。
- 今、千葉さんが骨を抜いている生ハムは大きいものですか?
通常よりちょっと大きい位で、だいたい骨つきの状態で10kgですね。
- この作業はどれくらいの頻度でされるんですか?
月約2回のペースですね。このサイズの生ハムを他のお店で扱っているとすると、大体1ヶ月に1本くらいのペースで消費されていると思います。うちでは、1ヶ月に生ハム1種類につき2本ずつ使うペース。全部が使える状態というわけでもないので、1ヶ月に平均6〜7本を消費しています。
ー 全部が使える状態ではない、というのは?
熟成の状態も違っていて、劣化しているものもあるからです。イタリアで骨抜きされて出荷されているものは、骨抜き段階で劣化しているものをある程度選り分けできているんです。
ちなみに、今日骨抜き作業をした生ハムは、劣化している部分がありました。劣化しているとちょっと鼻にツンとくるような匂いがあって、食べるとイガイガしてしまう。加工の段階でマッサージをして血を抜くんですが、スネの近くは完全な血抜きがしづらい場所で劣化しやすいんです。劣化しているところは切り落とし、大丈夫なところを使います。
- 骨がついた状態での入荷は、骨を取らないと劣化しているかいないかわからないということですね?それでも骨つきで入荷されているのはなぜですか?
味が違うからですね。プレッサートは機械で圧縮しますが、僕は、紐で縛るという意味のレガートをしています。人の手で縛って圧縮し、骨を抜いたところを結着させるので、よりふんわりした生ハムになるんです。
ー かなりの重労働ですね。
縛る時は、めちゃめちゃ手が痛いですが、生ハムは酸化が大敵。なるべく空気に触れさせず、縛る時に中に空気が入らないように締め付けなければならないんです。
スライサー界のフェラーリ
- ここからは、レガートした生ハムをスライスしていただきます。こちらの赤い機械が生ハムのスライサーですね。
はい、イタリアでは「スライサー界のフェラーリ」と呼ばれているメーカーのものなんですよ(笑)。お店を始めた当初は手動式ハンドスライサーを使っていました。開業4年目で電動式のこれを買ったんですが、勝手が違っていてはじめは全然使えず、練習しました。
- 手動と電動、具体的にどのように違うのでしょう?
手動式は、一目盛りずつ刃を動かしてスライスします。でも、生ハムは物によって水分量も脂の入りも硬さも違うので、目盛りに合わせてカットするには微調整に限界があるんです。それに対して電動式は、同じ位置で刃が電動で回っているだけなので、その都度手の感覚で生ハムに伝える力加減を変えてスライスしていきます。肉の塊を前後上下一定の力を加えて動かしていくのは、とても集中力が必要です。
- お皿にきれいに盛り付けるのも、技を感じます。
これも勉強しました。東京に、切りたての生ハムを販売しているお店が何店舗かありますが、そのうちの一つの「PIATTI」というお店で教えていただいた盛り方です。
その他にも、パルマハム協会の講習会を受講して学んだりもしました。有名なお店の方もたくさん参加していました。頑張ってやってきた甲斐があって、僕は昨年、日本で5人しかいなかったパルマハムスペシャリストとして認めて頂くことができました。
- 美しい生ハムの盛り付けを目で味わいながら、切りたてを頂く。贅沢ですね。
やっぱり、生ハムは切りたてが一番美味しいです。スライスする前には生ハムの表面の酸化しているところは香りが悪くなっているので切り落とします。新鮮なところを使わないと、わざわざ切りたてを出している意味がないですしね。
生ハムって、豚に塩と手仕事、そこに自然環境が加わるだけ。それだけで、生ハムの香りと旨味が出来上がるのがすごいなって今でも思うんです。その面白さが、僕が生ハムをやりたいと思った理由ですね。
・・・
生ハム・サラミへのこだわりを伺ったところで、千葉さんがなぜ、サルメリアを開いたのかを伺った。
建築業から飲食へ
子どもの頃から料理に興味があったという千葉さんだが、はじめから料理の道に進んでいたわけではない。
「自分で何かを作るということが好きで、建築やインテリアにも興味があったので、仙台の建築系の専門学校に進み、地元・岩手県に帰って店舗内装の会社に就職しました。」
「料理は趣味でもできるから」と、学生時代に飲食店でアルバイトをしていた千葉さんだが、建築の仕事をする中で、料理の道への想いが再燃する。
「建築では、構造力学や構造計算はすごく大事な分野なのですが、学生の頃から大の苦手で……(笑)。それに、お客さんのお店を作る仕事をしていたら、やっぱり自分のお店を持ちたいなと思うようになっていきました。」
店舗内装の会社を辞め、学生時代に慣れ親しんだ仙台で飲食店に転職したのは、千葉さんが23歳の時である。
「今はもう無くなってしまいましたが、仙台駅前にあったイタリアンのお店からスタートし、キッチンに入って約1年間学ばせていただきました。
早朝から深夜まで働いて……自分では良い様に言ってしまうのですが、無理しすぎていたんでしょうね。若かったです。振り返ってみると、本当に良い経験をさせてもらったなと思います。」
独立はしたい。でも、美味しいお店は山ほどある。自分にできるお店の形とは何だろうか。自問自答が続く日々の中、仙台駅前のとあるお店を紹介される。
「そこは、カウンターだけの洋風おでんの店。オーナーの方は、優しい人柄がにじみ出ていて、人の懐に飛び込んでいくような感じでした。オーナーの人柄に惚れ込んでそこで働かせてもらううちに、そこに集まるお客さんとの縁が繋がっていきました。」
28歳の年、おでん屋で出会ったある方から、こんな誘いを受けた。
「イタリアに一緒に行こうよ!」
衝撃を受けたイタリア
千葉さんをイタリアに連れて行ってくれた方は、毎月イタリア行きを決めているほど旅慣れている方。千葉さんの初めてのイタリア旅行は、ローマとフィレンツェに約1週間滞在するものだった。
「市場の中に色々な専門店があり、食材が溢れかえっていました。その中のサルメリアと呼ばれる食肉加工の専門店では、ショーケースに生ハムやサラミがたくさん並んでいる他に、今日お見せしたような骨つきの生ハムがぶら下がっていました。中にはまだ毛がついているようなものもあって。これ、全部生ハムや豚の加工品なんだって思ったら、興味しか湧かなかった。ただただ衝撃でした。」
日本の肉屋は、食べるサイズにきれいにカットされた状態で売られているのが一般的だが、イタリアではもっと野趣溢れる雰囲気だったという。そのお店の雰囲気に圧倒された千葉さん。
「日本にある食材もあったんですが、見せ方も違う。全てが新鮮でした。日本の感覚でしかいなかった自分。狭い世界で生きてきたんだなと気づかされました。」
帰国後は、新鮮な感覚の余韻に浸りながら、料理の専門誌を眺める日々。
東京にサルメリアがあるという情報を得た千葉さんは、早速そのお店に足を運んだ。お店は、日本の生ハムの第一人者という方が開いた「SALUMERIA 69」。そこで改めて食べた日本人が切る生ハムの繊細さ、美味しさに衝撃を受けた。
「イタリアで食べた生ハムは、もう少しラフな感じでした。本場の味付けも、日本人の僕にはかなりしょっぱいと感じましたし、日本人の繊細な仕事を改めて実感したのもこのタイミング。やっぱり自分でお店を出すならイタリア系の料理のお店を開きたいと思いました。」
自身のお店づくり
2016年10月、念願の自身のお店を大町にオープンした千葉さん。実店舗を持つことができたのも、一重に人の縁だという。
「勤めていた飲食店を辞めたのは、もちろん独立しようと思ったからなんですが、実店舗を持つお金がなかったので、誰かのお店を貸してもらいながら、シェアキッチンやコラボみたいな形だったら商売としてやっていけるかなと思い、そういった形で考えていました。
そんな時、ちょうど大町にあるこの店舗のお話をいただいて。それも、駅前のおでん屋さんで知り合った方からのご縁です。前のお店もイタリアンだったのですが、そのオーナーさんにすごく良くしていただいて、居抜きで引き継がせてもらえることになりました。」
美味しいお店は山ほどある。自分にできるお店の形とは何だろうかーー。
かつて、自問自答の日々を送っていた千葉さんが出した答えは、生ハム・サラミを主軸としたお店だ。そこに至ったのは、ある「もやもや」だという。
「日本は蕎麦屋という専門店がちゃんと成り立っている。ピザ屋という他国の専門店文化を受け入れる土壌もある。でも、どうしてイタリア料理はイタリアンと一括りにされてしまうのだろう?そういうもやもやがずっとありました。」
固定概念を壊すイタリア料理
開店当初、生ハム・サラミの用意だけではなく、料理も千葉さんが作っていたというが、生ハム・サラミのスライスには集中力と時間を要する。
2020年、「Salumeria Come Sta」のシェフとしてお店に加わったのが、蛭田治憲さんだ。
「仙台駅前で料理の仕事をしていたんですが、Salumeria Come Staの前のシェフと知り合い、『もっと本気の料理を教えてやるから来い』と声を掛けて頂いて、その方の元で学びました。」と蛭田さん。
「イタリアンと一括りにされてしまうもやもや」を、千葉さんは蛭田さんの料理で消化していく。
「日本料理と一言で言っても、沖縄と青森の料理が違うように、イタリア料理も地域性が出ます。うちでは、イタリア北部の伝統的な料理を中心にやっているので、ピザなどは基本的に提供しません。蛭田さんが色々なアイディアを出して試作してくれて、みんなでそこから意見を言い合って作っていきます。料理のバリエーションも、彼が入ってからすごく増えました。」
お店で提供しているパスタも、蛭田さんが毎日手打ちで作っている。パスタに関しても、千葉さんの想いがある。
「日本はまだまだパスタ=スパゲティのイメージがありますが、イタリアではショートパスタを食べる頻度も高い。現地はそうじゃないんだよって言葉で言っても仕方がないから、現地の料理を出して自然に感じてほしいんです。生ハムのおかげで、ちょっと掘り下げたものを出しても、お客さんは受け入れてくれるとは感じていますね。」
ingをはじめた理由
2020年、「Salumeria Come Sta」の生ハム・サラミを使ったパニーノ(サンドイッチ)のお店として、青葉区肴町公園の近くにオープンしたのが「ing」だ。
「もともとは、このお店自体を移店し、もっといろんな食材を食べてもらえるような形にしたかったんですが、コロナの影響もあってなかなか難しかったので、ここで提供していたパニーノをさらに充実させたものを出すお店としてオープンさせました。
生ハムって安いものではないので、こちらではハードルが高くて存分に楽しめないと思われているのかな?という思いもあり、ハードルを下げていろんな人に楽しんでもらいたいと思ったんです。」
「ing」の前には、連日10〜30代の若い世代のお客さんが列を作って待っている光景を目にする。千葉さんの狙い通りに楽しんで貰えているようだ。
「イタリアでは、パニーノがショーケースにばーっと並んでいるんです。ingでもそういうイメージでやりたくて、オープン当初はそうしていたんですが、食パンを使ったものだと乾燥してしまったり、なかなかイメージ通りにはいかなくて。今は、オーダーを頂いてから作る形に変更して、出来立てを召し上がって頂いています。
サンドイッチが好きな方はよく食べていると思いますが、それでも大体決まった形のものしか選択肢がないように思うんです。より現地のパニーノに近いものを手軽に食べられるようなお店として仙台に根付いてくれたら嬉しいですね。パニーノを食べながら街を歩いてくれたら良いなとか……。こうやって使ってくれたらいいなって妄想しながら作るのが好きなんです。」
オリーブオイルがたっぷり入ったパニーノ生地に何層にも挟まれた生ハムやサラミ。日本の定番の具材・卵サラダにはケイパーが混ぜられていたりと工夫も多く、チーズのフレッシュさも抜かりない。ハムやサラミに負けない個々の具材のしっかりとした味は、間違いなく仙台随一だ。
さらに「ing」は、パニーノ専門店とは別の顔も持つ。
「ingのキッチンと店内を、他の飲食店の方にもシェアしています。僕自身、人の縁でお店が成り立っているので、他の飲食店の方もそういったきっかけが生まれるようにできたらいいなと思ってはじめました。
今後、このシェアもただ場所を貸すのではなくて、もっとみんなで何かを作っているという感じにしていきたいんです。イベントなども、定期的に自由な形を試みていきたい。昼間だけではなく、夜市みたいな形も検討しています。」
サルメリアを根付かせたい
2016年にオープンした「Salumeria Come Sta」は、今年で5周年を迎える。今は、どんなお客様がいらしているのだろうか。
「オープン当初は、お店を開くご縁となった、おでん屋さんで知り合った人たちにメインで来て頂いている印象でした。お酒好きな方が多く、ホームパーティをよく開いていて、そういう場所に生ハムやサラミを持って行ってくれたらいいなというイメージで、当初からテイクアウトもしていました。
最近では、家族で楽しんでくれるお客さんが増えました。3歳くらいのお子さんがいるご家族が毎回来てくださったり、おじいちゃんおばあちゃんが飲みに来てくれたり。わざわざこのお店を選んでくれるというのが嬉しいですね。」
そんな千葉さんの次なる夢は何だろうか。
「東北各地に、サルメリアをそのまま持っていきたいんです。僕がかつて衝撃を受けたように、切りたての生ハムやサラミをその場で食べられたり、好きな量を持って帰ることができるサルメリアの文化を根付かせたい。
人がまだやっていない価値観や感覚を知ってもらいたいという想いが強いんです。そこから新しい世界が広がっていく気がして。僕自身がそうありたいから、自分に言い聞かせているところもあります。
生ハムを入り口に興味を持ってくれたら、そこから色々な食に興味をもってくれるんだろうなって。だから、生ハムはその入り口で良い。食の間口を広くしてくれるので。
そして、コロナが落ち着いたら、スタッフの2人をイタリアに連れていきたい。きっと色んなことを吸収できると思っています。」
イタリア現地の食がぎゅっと詰まったサルメリアの文化を、ここ、仙台で味わえる「SALUMERIA Come Sta」。新しい専門店と思いきや、一昔前の日本では、肉屋や八百屋などの専門店があたり前だったからか、どこか懐かしさも覚える。
「調子はいかがですか?」日常的に交わす挨拶を意味するCome Sta(コメスタ)の店名の通り、気負わず、美味しい食材を食べたい分だけ買いに来られる、これからの仙台のスタンダードになるお店だ。
Salumeria Come Sta
「ing」と姉妹店「SALUMERIA Come Sta」は、2022年1月に実店舗を閉店しました。
今後は、旅するサルメリア&パニーノテカとして、イベント出店等で活動していくとのこと。今後の展開が楽しみです!最新情報
Instagram @salumeriacomesta
撮影:蝦名信治