「欲しいモノ」と「楽しいコト」が作れる場 DIY STUDIO(DIYスタジオ)
建材屋さんが始めたDIYができるコミュニティスペース
DIYができる作業場だけではなく、シェアオフィスやシェアキッチンが併設されているコミュニティスペース。建物自体がDIYで作った家具やリノベーションであふれているので、アイデアがたくさん湧いてくる場所だと感じました。そんなDIY STUDIOがどんな場所なのか、マネージャーのミヤハラさんへお話を伺ってきました。
目次
周辺情報・アクセス
DIY STUDIOは仙台市地下鉄東西線「荒井駅」から徒歩5分、建物のイエローが目立っているので分かりやすいです。建物に書かれている「Waibi」という文字は、運営している「和以美株式会社」のことです。建築材料を卸売している会社で、元々はホームセンター向けへ卸す営業所の事務所兼保管倉庫だったそうです。
2016年8月5日(金)には物流倉庫をワークスペースを併設したDIYショップへと改装しオープン。そして、今年の2020年3月27日(金)にシェアキッチンやシェアオフィスが併設した複合施設へと更にパワーアップしてリニューアルオープンしました!
DIY STUDIO
〒984-0032 仙台市若林区荒井4-26-9
(地下鉄荒井駅より徒歩5分)
お問い合わせ:https://diystudio.jp/contact/
フロアマップ・利用料金
主に5つのスペースが設けられています。レンタル可能なのは、02〜05の場所と06の機器です。
01:DIY向けパーツ&グッズ販売(Goods & Interior)
・DIYで使用できるアイアンパーツや壁紙などを販売
02:イベントスペース(Event Space)
03:レンタル工房(Rental Work Space)
04:シェアキッチン(Share Kitchen)
05:シェアオフィス(Share Office)
※詳しくは、DIY STUDIOのWebサイトからご確認の上、お問い合わせください。
DIY向けパーツ&グッズ販売(Goods & Interior)
ショップの中は、アーツ・アンド・クラフツを思い起こす、なんともエレガントでかわいらしい雰囲気。セブンルールにも出演されていた、空間デザイナーの坂田夏水さんが内装を手掛けたそうです。
デザイン会社「夏水組」がプロデュースするDIYグッズが揃っています。また、アイアンパーツや各種塗料、アンティーク小物などを販売。建材会社なので、木材や店頭にはないインテリアグッズも取り寄せてくれるということでした。
人気&おすすめインテリアグッズの紹介
一番人気は輸入クロス。宮城県美術館で春にウィリアム・モリス展が開催されていた影響で、ウィリアム・モリスの壁紙に興味を持つ方が増えたそうです。
個性的で色鮮やかな壁紙が揃っていて、びっくりしました。日本の住宅だと「白」の壁紙が一般的だと思いますが、素敵な壁紙なら部屋が明るくお洒落になりますね!
ミヤハラさんによると、「まずはトイレなど狭い場所から貼り替えをしたい」という方が多いそう。そのため、DIYスタジオのトイレを一般的な住宅と同じ広さにし、輸入クロスを貼って見学できるようにしています。
女子トイレにはウィリアム・モリスの「いちご泥棒」のクロスが貼ってありました。開けた瞬間、思わず「かわいい〜」と呟いちゃいました。狭い場所での貼り替えがどのような体感になるのか、どのような見え方になるのか、を実際に見ることができるのはとても参考になりました。
至るところで施工の事例をみることができるのですが、このように使用した壁紙や塗料の品番と値段を記載してくれています。一旦自宅に帰って、検討する際に役立つ気遣いが嬉しいですよね。
「賃貸で壁紙を変えるのが難しい!」という方にはdecolfa(デコルファ)の「INTERIOR FILM TAPE(マスキングテープ)」がおすすめです。インテリア用のマスキングテープのようなもので、貼ってはがせるので手軽に部屋をかわいくデコレーションできます。
DIY STUDIOでは透明なファイルに貼ってくれているサンプルを見ることができるので、巻いてあると分かりにくい柄もとても見やすいです。透けている素材なので、木材に貼ると雰囲気も変わるため、棚に貼ってあるサンプルなども置いてありました。
他にも、月1回程度ワークショップを開催しているという水引きを教えている先生の作品など、手作りのアクセサリーや小物も販売していました。
レンタルスペースや機材
イベントスペース(Event Space)
イベントスペースは天井が高く、体育館やホールのようです。8月29日に開催されたグランドオープンでは、「ひきだしマルシェ」やワークショップ、家具の展示を行っていました。
約10店が「ひきだしマルシェ」に出店。屋根があるので、雨でも心配なく開催でき、デパートなどの建物は搬入口から売り場までが遠いことも多いのですが、シャッターも大きく駐車場が隣なので、とても搬入が楽で便利だと思いました。
レンタル工房(Rental Work Space)
イベントスペースの一部分がレンタル工房になっています。それぞれの作業台に電気やエプロンが用意されています。
ノコギリや電動ドライバーなど、様々な種類の工具が揃っています。わざわざ道具を購入して持ってくる必要がないので、手ぶらで来ても大丈夫。木材は在庫があれば、その場で購入したり、事前に注文したりすることも可能なので、作りたいものや必要なものは気軽にスタッフの方に相談してみてください。
この収納付きのベンチもDIYスタジオで制作したそうです。自分に必要なスペースに合わせた色や形の家具をオリジナルで制作できたら、愛着を持って長く使えるのではないでしょうか。
金属加工ができる溶接や塗装ができるスペースもあるので、ぜひ活用してください。
シェアキッチン(Share Kitchen)
シェアキッチンはコロナの影響もあり、机や椅子の数を減らしているそうです。手作りワークショップや料理教室を開催することもできます。
キッチンは、木材のシンプルなカウンターに、市販の流し台やIHクッキングヒーターを組み合わせて作られています。裏側を覗くと、どのような構造になっているのか分かるので、DIYの参考になりそうです。
オーブントースターや炊飯器が2つ置いてありました。調理器具や食器も種類豊富に揃っています。
シェアオフィス(Share Office)
シェアオフィスは少し階段を登った先にあります。席は固定ではなく、フリーデスクのみ。工房での作業の合間に、ここで構想を練ったり事務作業を行うことができます。
アウトドアなテントやハンモックがあるスペースがあり、気分転換のリラックスにもぴったりです。プロジェクターがあるので、ここでイベントをしても面白そう!
CNCルーター「ShopBot(ショップボット)」レンタル(ShopBot)
木工加工専門のCNCルーター「ShopBot(ショップボット)」を利用することができます。「ShopBot」をレンタルしている場所はかなり珍しいそうで、私も初めて拝見しました。初心者でも比較的簡単に操作ができ、オープンソースのCAMソフトを採用しているのでJW-cadやillustratorといったソフトのデータも読み込むことが可能なんだとか。
「CNCルーターって何?」と思ったのですが、制作された作品を見てみるとレーザーカッターのように木材を加工できるようです。模様を彫ったり、3Dのようにカットしたりできるのがびっくり。美術系の学生さんの課題や制作の場にもぴったりだと思いました。
DIY STUDIOさんのShopBotの導入事例が掲載されていたので、ぜひ下記のURLも参考にしてください。
https://note.com/vuild/n/na0409e92fd80
その他の設備や備品について
ロッカーは有料で利用できます(2,000円/月)。
工房で作業をした後に汗をかいたり汚れたりして、シャワーを浴びたいという方もいるはず。シャワー室があり、借りることができます。
ミシンをレンタルすることができます。お父さんが棚を作っている間に、お母さんがお子さんの入学グッズを作って待っていることもあるのだとか。(500円/時間)
「DIY STUDIO」ミヤハラ タエコさんにインタビュー
ー今回、リニューアルオープンされたそうですが、きっかけは何だったのでしょうか
元々ここはホームセンター向けに建材を卸す業務を担う物流倉庫でした。業務内容を一転するにあたり、新しいことに挑戦しようと、ワークスペースを併設したDIYショップへと倉庫を改装しオープンをしました。
今回のリニューアルは全国に営業所を持つ和以美株式会社でも「モノ」ではなく、「コト」を提供するのは初の取り組みとなるので、社内では慎重な声もありました。弊社の代表は今までにない取り組みに積極的なので、DIYショップをやる際にも「どんどんやっていいよ」と後押ししてくれたんです。
ーどんな方におすすめの場所ですか?
DIY STUDIOは全て女性のスタッフです。ホームセンターでは男性が多いので、行きづらいという女性の方でもお気軽にお越しいただければと思います。
また、スタッフは全員「整理収納アドバイザー」の資格を取得しています。「ちょっとした空きスペースがあるから棚を作りたい」という方がよくいらっしゃるのですが、収納棚を作ると中に入れる物がどんどん増えていきます。物を増やしたくない場合は、「飾り棚を作りませんか?」というように他のものを提案する場合もあります。
我々は大工さんのような知識はありませんが、利用者の方と一緒に考えることで、一人では解決できないことも乗り越えることができると思っています。本当に困った時は仲の良い大工さんに電話して聞くこともあります。そうやってスタッフも一緒にDIYを楽しませていただいています。
ー利用されている方はどんな方がいらっしゃるのでしょうか
レンタル工房ではご家族でいらっしゃる方もいれば、学校の授業で利用される場合もあります。シェアキッチンでは料理教室や手作りワークショップ、イベントスペースでも「ひきだしマルシェ」や「からくた市」などのイベントが開催されています。シェアオフィスには不動産関係や内装デザイナーさんなどが入居されています。
ー楽器が置いてあったので、ミュージシャンの方がいるのかと思いました(笑)
いや、ミュージシャンはいないです(笑)。ただ、シェアオフィスは少し床を高く作っているので、ステージみたいにも使えそうだなと思っていました。そんな風に何か物を作る場だけではない多様な使い方が生まれたら面白いな、と考えています。
ー今後の予定や目標はありますか
実は、まだDIY STUDIOは6割くらいしか出来上がっていないんです。だからこそ、皆さんと一緒にこの場所をDIYしてよりよい場所へと変えていけたら嬉しいです。
撮影:はま田 あつ美