くらしとおやつ お家で揚げたてドーナッツ
おやつが好きだ。
どんなに疲れていても、少々嫌なことがあっても、
おやつがあれば、大抵のことをリセット出来てしまう。
そんなおやつについて、エピソードや私自身のこだわりを綴っていく。
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紙吹雪をまいたような桜の木々を見上げながら、
ぽかぽかとした陽気に、心も体も晴れやかになる季節がやってきた。
しかし、今年は例外。
爽やかなブルーの空を窓越しに眺めながら、家に篭っている日々。大好きな季節と猛威を振るう未知のウィルスの到来が重なり、残念でならない。
残念ではあるが、一方で、家で過ごす時間は大好きだ。料理、読書……家で楽しめることは色々あるが、その中でも、家で観る映画は格別だ。瞬時に様々な世界に没頭でき、泣いたり笑ったりリフレッシュにもなるので、ジャンルを問わず、週に2~3本は観ている。
昨年上映された映画『JOKER』が、記憶に新しい方も多いと思う。
ジョーカーはアメリカンコミックス『バットマン』に登場する悪役で、本作品はジョーカー誕生に至るまでのストーリーだ。
気になる映画のひとつだが、そもそもバットマンの話自体を詳しく知らない。そこでまずは、バットマンシリーズの中でも評価が高い、クリストファー・ノーラン監督の3作品を観ることにした。
『インセプション』『プレステージ』など、ストーリーに重厚感がある彼の作品は面白く、バットマン誕生の軌跡を描いた『バットマン・ビギンズ』も楽しめて、ジョーカーが登場する2作目『バットマン・ダークナイト』に期待が高まる。
おやつの連載なのに映画の話、と思っただろうか。
ここからが本題。
私がなぜ家で観る映画が好きかというと、映画のお供のおやつを自由に選べるから。
勿論、映画館に足を運ぶ時はポップコーンを選ぶ。
片手で食べやすいポップコーンが映画のお供の定番であることに異論はないが、家での映画はもっと自由に、どんなお供を選んでいい。ポテトチップスの大袋をびりっと開いてそのままつまんでもいいし、おかきを頬張ってもいい。いずれにせよ、食べやすく、行儀を気にしなくてもいいようなカジュアルなものが合う。
そこで。今回私が家での映画のお供としてすすめたいのが、ドーナッツだ。手で掴んでぱくっとかぶりつけてコーヒーにも牛乳にも合う、ホームシアターにぴったりのおやつである。
買ってきたものでも良いのだが、おそらく今、家での時間に余裕がある方も多いだろう。ぜひ、ドーナッツを揚げて食べてみてほしい。揚げたてのドーナッツはとにかく病みつきになる。
簡単な作り方をご紹介する。決め手は材料のヨーグルト。揚げてしばらく経っても固くなりにくく、もちっとした食感が楽しめる。
用意するのは、
砂糖50g、卵1個、牛乳大さじ1、ヨーグルト大さじ2、
薄力粉 150g、全粒粉50g(なければ薄力粉200gでもOK)、ベーキングパウダー5g、揚げ油。
目安として、この分量で直径7~8cmのドーナッツが5個出来る。
はじめに、砂糖、卵、牛乳、ヨーグルト大さじ3をボウルで混ぜる。次に、薄力粉、全粒粉、ベーキングパウダーを混ぜ、ダマにならないようにふるいにかけてボウルに入れ、全体を混ぜて練ったら生地の出来上がり。もし、ナッツやドライフルーツ、チョコレートなどがあれば生地に混ぜ込んでもおいしいし、ナツメグなどのスパイスを入れると、海外のお菓子のような独特の風味が出てこれもおすすめだ。
形は、私は真ん中に穴の空いた文字通りドーナッツ形が好きなので、生地を5等分してそれぞれを丸く転がし、それを手のひらで平たく伸ばしたら、ペットボトルのキャップなどで中央に丸い穴を空けて輪の形をつくる。この時、生地がべたついて成形しづらいようだったら、小麦粉などで打ち粉をすると作りやすい。
油を熱して菜箸などを入れ、泡が立ってきたらドーナッツをそっと油に入れる。
ここからの時間がドーナッツ作りの醍醐味。油がからからと小気味好い音を立てはじめ、まるで浮き輪に空気を入れていく時のように、生地が端からぷくーっと膨れ、みるみる黄金色に変わっていく。
しっかりと揚げ色がついたら、焦げる前に油から取り出して出来上がりだが、最後の一工夫として、シナモンとグラニュー糖をまぶすのがおすすめだ。
シナモンとグラニュー糖をお皿やボウルに出しておき、熱々のドーナッツをその中にダイブさせれば完成。部屋中が甘く香ばしい香りでいっぱいになる。
この時点できっと、一口いきたい衝動に駆られるはずだ。我慢せずにどうぞ味見を。揚げたての衝撃は、お店のそれではなかなか味わえないものだから。
唇についた甘い粉を舐めながら、ドーナッツをお皿に並べ、挽きたての豆を丁寧にドリップし…… いや、そんな時間も惜しい。ささっとインスタントコーヒーにお湯を注ぐ。
アメリカで愛されるドーナッツに合う映画なら、ここはアメコミの王様『バットマン・ダークナイト』を迷いなく。いそいそとプレイヤーにDVDをセットする。
カーテンを引いて部屋の照明を落としたら、ソファに身を沈めて毛布にくるまりスタンバイ完了。
さて、映画とドーナッツの感想はいかに。
ここは是非、ご自分で味わっていただきたいのだが、予め伝えておく。
映画は152分間息つく暇もないので、ドーナッツは事前に多めの味見をお勧めする。
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