くらしとおやつ 「にこにこベリー」でいちご大福
おやつが好きだ。
どんなに疲れていても、少々嫌なことがあっても、
おやつがあれば、大抵のことをリセット出来てしまう。
そんなおやつについて、エピソードや私自身のこだわりを綴っていく。
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深夜11時。
夕飯や皿洗いを終え、明日のお弁当の用意なども終え、さぁお風呂に入ろう……としたその時に、それは突然やってくる。
「おやつにしようかな。」
軽く何かつまみたい、という程度ではなく、お茶を淹れて、しっかり腰を据えておやつの時間を取りたい、そんな気持ちがやってくる。更にいうならば、無性に何か作りたくなるのだ。
冷蔵庫を開けてごそごそ、そうだ、買ったばかりのいちごがあった。
トレイに並ぶその形は美しく、まさに粒揃い。
さっと水で洗いへたを取って口へ放り込み、歯を当てた途端、果汁が口の中に溢れ返った。
春になると、いちご味のお菓子やドリンクが沢山出回るが、私はいちごそのものに勝るものはないと思っている。
当たり前のことをいうようだが、“いちご味”と“いちごの味”は全く別物だ。
いちご味は、甘く可愛らしい香りがつけられ、いちごのイメージを連想させるものになっている。
一方、いちご自体の味は、もっと生命力に溢れているとでもいおうか、食感も相まって生きている味がする。可愛いだけではない、酸味と瑞々しさが好きだ。
そんないちごの新しい品種が、2019年秋、宮城県に誕生した。
その名も「にこにこベリー」。
あまりの愛くるしい名前に、最初は品種名だと気づかず、パッケージの謳い文句だと思ったくらいだ。
宮城県のオリジナル品種「もういっこ」にいちごの定番「とちおとめ」を掛け合わせ、約12年の歳月をかけて生み出された品種で、食べた私たちは美味しくてにこにこ、それを受けて販売する方も、生産する農家の方もにこにこになれる、というのが名前の由来だ。
真夜中のキッチン、赤く艶やかな「にこにこベリー」を見つめて、突如思い立った。
「いちご大福だ。いちご大福を作ろう。」
口に頬張った時の幸せを思い浮かべ、にこにこを通り越し、にやにやし始めてしまった。
用意するのは、いちごと、白玉粉と片栗粉、缶詰の餡子の4つ。どれもスーパーで手に入る食材だ。「にこにこベリー」も県内のスーパーや直売所で購入できる。目安として、白玉粉100gで2~3個のいちご大福を作ることができる。
まず、白玉粉を耐熱容器に入れ、水を加えながら耳たぶの固さくらいになるまで手で練っていく。一度に水を入れてしまうとゆるくなりすぎたりするので、少しずつ固さを見ながら調整していくと良い。
お餅の部分をほんのり甘くしたい方は、砂糖を大さじ1加える。私はやさしい甘みが加えられるきび砂糖を使っているが、爽やかな甘みが加わる甘酒を入れるのもおすすめだ。
次に、耐熱容器にラップをして、レンジで加熱していく。
この時、加熱時間を短めに設定して様子を見ながら加熱し、少し半透明になってきたところで取り出す。お餅が素手で触れるくらいに冷めてきたら、手につかないように片栗粉で打ち粉をし、食べやすい大きさに分けていく。
さぁ、お楽しみのいちごと餡を包む時間。
いかにして、いちごと餡がお餅からはみ出さないようにするかがポイントだ。
食べやすい大きさに分けたお餅を、めん棒(ラップの芯でもOK)で薄く伸ばしていくのだが、ちょうど餡子といちごが乗るお餅の中央部分を少し厚めにしておくと、包む時にお餅に穴が空きにくい。お餅に餡といちごを乗せたら巾着のようにくるっと丸めて出来上がり。包んだところを下にしておくときれいに丸くまとまる。
おやつを作ろう、と思い立ってから約15分。
目の前には、純白のまぁるいお大福様たちが鎮座している。
指先で持ち上げると、ぷにゅっと柔らかくえくぼのようにお餅がへこむ。
勢いよくかぶりつけば、優しいお餅の香り、濃厚な餡の甘み、いちごの酸味が順番にやってきて、3段階の美味しさが口いっぱいに広がった。
熱めに淹れたほうじ茶で一呼吸。さて、いちご大福の楽しみはもう一つ。それは、いちご大福の断面だ。
大福を包丁で2つに切り分けると……白、小豆色、赤の3層のコントラストの美しいことよ。思わずじっと見惚れる。断面も赤い「にこにこベリー」は、まさにいちご大福にぴったりの品種だといえるだろう。
最後の一つに手を伸ばそうとして時計を見ると、まもなく12時。
こんな時間におやつを食べてしまった……なんて思うのは止そう。私は今、口福に満たされた夜更けを過ごしているのだから。
手作りいちご大福は、和菓子職人が作るものに比べれば不恰好だが、味はなかなか。あっさりとしていて、2~3個はあっという間に食べられる。
真夜中に作って独り占めするもよし、家族やお子さんと一緒にわいわい作るもよし。
旬の「にこにこベリー」を使った“いちごの口福”こといちご大福を、是非、お試しあれ。
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宮城県育成いちご品種「にこにこベリー」
instagram @nikonikoberry