「フラットラベルsendai 」インタビュー|仙台に新たな賑わいを生むイベント仕掛け人ってどんな人?
KURASHITOのおでかけ情報でも度々ご紹介している、仙台の素敵なイベント。
「大町日用品市」や「お花見縁日」、「青葉通納涼縁日」、「OPEN MUJI」などなど……。きっと、皆さんもまちで見かけたりお買い物したことがあると思います。
これらのイベントは、誰が、どのように作っているのでしょうか?
気になったので、ご本人にインタビュー取材してきちゃいました!
せんだいリノベーションまちづくりの大町ユニットをご担当されている、「フラットラベルsendai」の池田栄進さんと、渡辺沙百理さんです!
Profile
池田栄進さん(写真左)
移動式コーヒー店「SUNNY SITE COFFEE」オーナー兼、移動映画館「キメラキネマ座」運営。2019年からフラットラベルsendaiとしてイベントの企画・運営を行う。渡辺沙百理さん(写真右)
「Planning Laboratory」として、1to2BLDG.の「イチと二市」や「青葉通イチとイチ」をはじめ、無印良品「OPEN MUJI」、「量り売りマルシェ」などを企画・運営。フリーイベントプランナー。
副業のイベントプランナー! 普段のお仕事は?
natsumi:お二人は、フラットラベルsendaiの活動の他にいくつか本業のお仕事をされていますよね。
池田さん:そうですね。5年前に始めた移動式コーヒー店「SUNNY SITE COFFEE」と、移動式映画館「キメラキネマ座」として活動しています。
tomoe:もともと、コーヒーや映画がお好きだったんですか?
池田さん:いえ、そうでもないです(笑)。
tomoe、natsumi:えっ!?(笑)
池田さん:コーヒーや映画の知識は、人並みですよ。
それよりも、元々「場」が好きだったというか。実店舗を持たず、移動式の形式をとったのも、行く先々で「場」を作ることに魅力を感じたから。
natsumi:場、ですか。
渡辺さん:私の場合は、インテリア会社に勤務していたのですが、あるイベントに参加してから、「場を作る仕事って、楽しそうだな」と思って。そこに、池田さんも出店されていたんですよね。
池田さん:そう、そう。
渡辺さん:13年勤めた仕事を辞めて、そのイベントを開催していたデザイン事務所が運営するarneというコミュニケーションスペースで1年ほど経験を積ませていただいて。企画や準備のノウハウ、考え方のベースなどはそこで教わりました。
ちょうどその頃、1to2BLDG.さんにも、イベントスペースで企画をやってみないかとお話をいただいたんです。カフェスタッフとして関わりながら、個人としてフリーランスのイベントプランニング事業、「Planning Laboratory」の仕事を立ち上げました。
natsumi:お二人とも、それぞれの活動も行いつつ、まちづくりのイベントも動かしていらっしゃるんですね!
仙台のまちづくりについて
natsumi:お二人が運営する「フラットラベルsendai」は、仙台市と民間が連携して運営している「せんだいリノベーションまちづくり」で大町の活性化を担っていますよね。
池田さん:そうです。この事業は、仙台の空き地や活用されていない公共空間を使って、新たな賑わいをまちに生み出そうと官民一体となって動かしているプロジェクトです。私たちは受講生として参加し、大町エリアの課題を解決できるイベントを提案、その案が採用され大町ユニットの担当になりました。
natsumi:まちづくり事業に参加されたきっかけは?
渡辺さん:もともと、フラットラベル(flatttrabel)は新潟にもメンバーがいるんです。山形のイベントで出会い、4人で意気投合して。それぞれの土地の人と物を互いに行き来させるような企画をやりたいと考えて発足したのが原点です。
フラッと(flat)、旅するように(travel)立ち寄れる場所を作りたい、というコンセプトのもと、イベントを企画しています。
池田さん:公園や歩道などの公共空間を利用して、そうした企画を実現させたかったのですが、利用申請や飲食関係の申請許可をとるのがとにかく難しいんですね。
そこで、まちづくり事業に参加することで行政との信頼関係を築こう、と。
natsumi:実際に参加してみて、どうでしたか?
池田さん:公共の場でイベント企画を経験できたことに加え、熱意のある市職員の方と出会うことができたのは大きかったですね。
渡辺さん:大町は、大型マンションの建設等により住民数が増加している一方で、近隣にスーパーが無く、買い物難民が発生しています。また、住民同士の交流も減っている。1to2BLDG.のスタッフとして働いていて、そうした地域の課題を肌で感じていましたから、企画の回を重ねるごとに少しずつ解消されているのは嬉しいです。
natsumi:地域住民の方の反応はいかがでしょう。
渡辺さん:リピーターの方が増えて、出店者との交流が深まってきた様子を見ると嬉しく思いますね。犬のお散歩ついでに立ち寄ってくださったり、お買い物をしたり。先日のイベントでは、宮城大学建築学生団体Galaとのコラボによる椅子つくりワークショップも開催され、企画が一段と賑やかになりました。
池田さん:せんだいリノベーションまちづくりには、学生枠があるんです。公共イベントの企画・運営やまちづくりに関心のある学生さんが集まっていて、運営のお手伝いをしていただきました。
人が集まる場所のつくりかた
natsumi:「青葉通イチとイチ」をはじめ、KURASHITOで紹介させていただいたイベントを、実は渡辺さんが企画に携わっていた! というものが沢山あります。世界観があって、素敵ですよね。
渡辺さん:ありがとうございます。青葉通イチとイチは、マルシェのコーディネートなどで携わらせていただきました。
natsumi:イベントプランナーって、どんなお仕事をされるんですか?
渡辺さん:マルシェやワークショップ等の企画、さらに、その企画にあった出店者さんを集める仕事が主です。1to2BLDG.を会場にいくつかイベントを企画するうちに、それを見てくださった外部の方が依頼をくださることもあります。
natsumi:池田さんの移動式映画館というお仕事も素敵ですよね。
あれって、著作権は一体……?
池田さん:大丈夫、ちゃんと許可取ってますよ!(笑)
映画上映は、同じ映画でも規模や場所など様々な条件によって、使用料が変わってくるんです。単純に同じようには行かず、なかなか難しい。
屋内上映ではよく「popcorn」というサービスを使用していますが、便利ですよ。規模が大きくなる場合は、一時的にスポンサー協力を得ることもあります。
tomoe:popcorn、お店などで小規模の上映会をやりたい時には便利ですね!
邦画も洋画も、いろいろあるんだ。
natsumi:イベントを開催したいと思ったらまず、何をすれば良いですか?
渡辺さん:コンセプトを決めることと、場所を決めること。初めて開催する方でも、レンタルスペースのような私有地であれば気軽に場所を確保できると思いますよ。使用許可も、建物の管理者にOKをもらうだけで済みますし。
企画をつくる上で大切なこと
渡辺さん:イベントをやりたいと思ったら、実現するのは結構簡単なんです。
簡単だけれど、大切にしなければいけないことがあります。場所やニーズに合わせて、テーマやコンセプトを作り込むことが一番重要です。
池田さん:これまでの経験値で、この出店者様を呼ぶと人が集まる、こういうコンテンツがあると話題性が生まれる、というのは分かっているんです。
でも、ただそれだけで出店者を集めるだけではどのイベントも同じになってしまう。『この人だから』来て欲しい、という軸が大切。その軸を決めるには、「テーマ、コンセプト」や「世界観」がはっきりしていなければならないんですね。
渡辺さん:イベントって、楽しいイメージですよね。良い企画にはその裏に必ず、課題解決の思考や目的意識があるはずです。参加者も、なにか必ず目的を持っていらっしゃると思います。
「イベントやりたい!」の次に、「なんでやりたいのかな?」「どういう世界観で作りたいのかな?」「どういう風にお客さんに楽しんで欲しいかな?」と、突き詰めて考えると良いですよね。
natsumi:池田さんは、SUNNY SITE COFFEEとしても、キメラキネマ座としても、本当に様々な場所で出店されていますよね。以前、KURASHITOで取材したシーシャ屋さんでも上映会を開催されたと聞きました。
池田さん:意外性のあるものを組み合わせてみるのが面白いんですよね。いろんな場所で、これをやってみたら楽しいんじゃないか?というように。
過去に、田んぼのど真ん中でコーヒー販売をやったりもしましたよ。自分が楽しければいいんです。そういう企画は。
渡辺さん:たとえ人が集まらなくても……(笑)。
池田さん:いい、いい(笑)。
案外、そういうところに常連のお客様が来てくださることもあるんです。普段はテイクアウトですぐ帰られるお客様も、場所が変わると滞在時間が長くなる。
natsumi:そこでまた、新たなコミュニケーションが生まれるんですね。
裏方仕事でいちばん大変なことは?
natsumi:大町日用品市の運営で、一番大変だったことはなんですか?
渡辺さん:地域の方に理解を得るのが結構大変ですね。
町内会に許可をいただいたり、近隣のお店に資料を持って説明に伺ったり。
natsumi:そうなんだ!意外でした。そこが一番大変な作業だったとは……。
池田さん:青葉通の歩道を使ったイベントですから、近隣の路面店には全て足を運びましたね。新旧さまざまなお店があって、それをいかにまとめられるか、というのが難しい所です。
tomoe:企画の際、お互いの意見が食い違うことはあるんですか?
池田さん:しょっちゅう、ありますよ(笑)。
渡辺さん:うん、うん(笑)。
池田さん:お互い副業ですから、限られた時間の中でミーティングしなくちゃいけない難しさもありますね。地域の方への説明も、それぞれ分担して動ける時間に行う。それでも1〜2週間はかかったかな。
渡辺さん:イベントの運営って、当日よりも準備の方が圧倒的に大変なんですよ。その地道な裏方作業の大変さに「もう二度とやらない!!」と思うこともあるけど(笑)、当日を迎える度に「やって良かった、また次も頑張ろう」と感じるんです。
今後、やってみたい企画は?
渡辺さん:まずは、今年やれていないことをやっていきたいです。改めて、フラットラベルでやろうと考えていた企画を練り直していこうと考えています。
natsumi:やりたかったけど、できていない企画はありますか?
池田さん:前々から企画していて、もう案も固まっているのが「銭湯」でのイベントですね。銭湯って色んなスペースがあるでしょう。番頭台があって、脱衣所があって、男湯と女湯があって。大風呂もあればサウナもある。面白く使えそうだな、と企画を色々考えていますよ。
tomoe:当日は温泉には、入れ……?
池田さん:そうですね、入れない、です(笑)。
全てのスペースを使ったイベントを考えています。
natsumi:一体どんな空間になるんだろう……! すでに開催が楽しみです!
「場が好き」で移動式コーヒーをはじめた池田さんと、「場を作りたくて」イベントプランナーになった渡辺さん。これからも、お二人のイベントから目が離せません。